岡田以蔵
開国か尊皇攘夷か大いに時代が揺れ動いた幕末。尊皇攘夷運動は四国の土佐藩にも飛び火し、武市半平太(1829~1865)を中心に急進的集団「土佐勤皇党」が結成されます。
「土佐勤皇党」は徳川幕府を打倒するべく幕府側の要人暗殺を含めた様々な活動を行っていましたが、そのような活動の中で、武市の手先となって多くの暗殺に関わり、「人斬り」と恐れられたのが岡田以蔵(1838~1865)です。
以蔵は土佐藩独特の身分制度である下級武士階級、郷士の家に生まれ、武市から剣の腕を買われて土佐勤皇党の運動に加わりますが、思想的な主義主張は全くなかったといわれています。
そのため、同郷の坂本龍馬に請われて、敵対するはずの幕閣勝海舟のボディーガードを務めたこともありました。しかし、無知、無思想ゆえに、武市半平太の都合のいいように使われた暗殺者という印象が強く、彼を描いた映画「人斬り」の中でも大筋そのような解釈で描かれています。
土佐勤皇党はやがて一時の勢力を失い、武市半平太は捕らえられ藩主より切腹を命じられます。以蔵も土佐藩の幕吏に捕らえられ処刑されます。享年28歳でした。
幕末に人斬りと呼ばれた人物は他に薩摩の中村半次郎、長州の田中長徳などがおり、時代劇の中にも何回か登場しているようですが、岡田以蔵は戦前の時代劇にも主役扱いで登場した作品があり、表舞台を歩いていない歴史上の人物としては特異な存在感を示しています。
最近では、独特の過激なバイオレンス表現で評価の高い三池崇監督により人斬り岡田以蔵の怨念をモチーフにした「IZO」(2004)が製作され、ビートたけし、内田裕也、ボブサップなどの豪華なキャストとともに注目を浴びました。
<登場時代劇作品>
京洛の舞(1944)
風雲三条河原(1955)
IZO(2004)